ノ・スンテグ Suntag Noh

 

娯楽化する軍事ショーと写真家の眼差し

韓国の歴史や社会問題をテーマとしたドキュメンタリー作品の制作を行ってきたノ・スンテク(1971、ソウル生まれ)。2014年の韓国美術家賞を受賞するなど、韓国を代表する写真家として近年大きな注目を集めている。韓国で一般公開されている軍事演習や武器販売会に訪れる市民の様子を撮影した「reallyGood, murder」シリーズでは、科学や安全保障の名の下に兵器が礼讃され、さらには軍事ショーが娯楽化される現実が、詩的で美しい写真表現で切り取られている。休日を楽しむ人々と軍事兵器が共存する風景のいびつさは、見る者に違和感を覚えさせるのではないだろうか。今なお停戦状態にある朝鮮半島の軍事環境や一般市民の置かれた状況を、ひとりの写真家として冷静に見つめるスンテクの作品は、変化する社会情勢の中における個人のあり方について、普遍的な問いを投げかける。